第4章 裁けぬ人
俺はその犬の背から箱を取った。
もう1匹の方の犬がこちらまで走ってきているのに気がついた。
俺はすぐさまドミネーターを向ける。
= 対象の脅威判定が更新されました。 執行モード デストロイ・デコンポーザー 対象を完全排除します。ご注意ください。 =
ドミネーターの淡々とした声。
犬は一瞬で消え去った…。
すると、近くに鞄を見つけた。
開けてみると、どうやら折ったら光る光源体のようだ。
「これは便利だな……。」
その中に箱のバッテリーも入っていた。
これでようやく通信機が使える……。
俺はとりあえず、女の元へ戻る、通信機を組み立ててみた。
電源を入れる……。
「誰か……聞こえるか?」
ザザザ…というノイズだけが俺に応える。
「聞こえているなら、これから言うことをよく聞いておいてくれ。……この中では"ゲーム"と称された人殺しが大量に行われていた。区画に飛散している血液の量からして10、20……。いや、もっとかもしれない。……とりあえず、応援を頼む。それと、電波を妨害されているようでな、ついでにその装置も見つけだして破壊してくれるとありがたい…。」