第4章 裁けぬ人
『…宜野座さん。』
「…ああ。如月監視官。現状を報告してくれ。」
一連の騒動で1係の全員が現場に来ていた。
『……はい。』
私がこれまでのいきさつを説明すると、
「狡噛が…逃亡した。と思われる可能性は何%ある?」
『…0%です。』
私は少しだけ考えて、重々しく、少し低めの声でそう告げる。
「……そう思う根拠は?」
そう宜野座さんが私に問う。
『彼は、私達との通信中に連絡が途絶えました。地図と地形が合わず、混乱はしていますが、位置情報もまだ動いています。……そうなるとすぐに見つかってしまいます。見つからないようにするためには彼が身につけている装置を壊せば良い。ですが、彼はそれをしていません。という事は、逃亡した確率は0%と言えます。』
「……確かに。狡噛が逃亡するとしたにしては、思考力が低いな…。よし。如月監視官を信じてみることにしよう。」
『…!!ありがとうございます!!』
「なんにせよ、狡噛を早く見つけなければならない。如月監視官。よろしく頼むぞ。」
『は、はい!!』
一礼していた私にそう告げ、宜野座さんは全体に指示を出す。
「ハウンド4は引き続きシェパード2と共に、ハウンド1ハウンド2は俺と共に、それぞれまずは電波を妨害している物の始末を、そして狡噛と通信が取れ次第監視官に報告。良いな?」
「了解。」
「了解だ。」
「了~解!」
『了解しました。』
宜野座さんの指示に六合塚さん、征陸さん、縢君、そして私の……。
4人分の声が重なり応えた……。