第4章 裁けぬ人
「っ……!!いや…!!」
女がうずくまる。
女が見ていた方向に、猟犬の様なロボットがいた。赤い、犬型のロボットだ。
牙は鋭く、噛まれれば致命傷を負い、死に至るだろう。
「っ!!おい、走れっ!!」
女の腕を引き、闇雲に走った。
らしくない気がしたが、今はとりあえず被害者の避難が先だ。
「あれは…何なんだ…?」
息を切らせながら物影に身を隠す。
奴は俺達を見失ったのか、向こうへ走り去って行った。
「おい、あれは何なんだ?」
女に問うも、女は怯えて答えない。
「ちっ……。」
俺は舌打ちを吐き捨てる。
せめて、外部との連絡が取れれば、な……。
そう思い、俺は深く溜息を吐いた……。