第12章 死
「君が…。
僕の"死"に捕えられて、狂ってしまうのも…悪くはないのかもね……。
……愛しているよ、悠。
…だから、僕が死ぬのは君の所為だ……。」
『……え…。』
…それは、本当に一瞬のことだった。
槙島先輩は、私の掴む右腕と狡噛さんの掴む左腕を振り払い、
崖の、そのゴツゴツとした冷たい壁を蹴った……。
『っ……!?
ま、槙島先輩……っ!!』
必死の思いで伸ばされた私の手は、槙島先輩の手に届くことはなく……
虚しく空を掻いた……。
『っ……。
あぁ……っ!!』
私は耐えられなくなって顔をうつ伏せる。
槙島先輩の姿は、もう見えないし、見たくもない……。
……きっと、この高さから落ちたのであれば…原形をとどめていないだろう……。
「……如月、行こう。
…奴は、死んだ……。死んだんだ……。
…全部、終わったんだ……。」
狡噛さんは、槙島先輩の死に対して悲しみで泣き、彼の裏切りで怒りに震える私の肩を抱いて言った。
……本当に、これで終わったのだろうか……。