第12章 死
…それが、数時間前の出来事だった。
半ば無理やり、宜野座さんに場所を聞き出した私は現地へ急いだ……。
助手席には、窓の外を退屈そうに眺める狡噛さんの姿もある。
…その場所は、崖のように切り立っている危険で、人気の無い場所……。
……隠れるには、最適だろうが…他には本当に何も無い。
あるのは、迷ってしまいそうな樹海と崖の下にある暗い海だけだった……。
『…付近に捜索用のドローンを出します。
それとは別に私と狡噛さんとで捜索します。
……良いですね?』
「…ああ、わかった。」
『狡噛さん、槙島聖護を見つけたら必ず私に報告してくださいね……?』
「わかっている。」
『……絶対ですよ…?』
「わかってるさ。
如月は心配性だな……。」
苦笑して言う狡噛さんの声音はとても穏やかだった……。
『そうじゃなくて……っ!!』
反論しようとしたその時、
狡噛さんが私の手を取り、腕を引いた。
そして、私が吐こうとした言葉ごと…私の唇を奪い去った。
『……。』
驚きすぎて言葉も出ない私を微笑みながら見て、
「……じゃあ、行くか。」
とだけ狡噛さんは言った。