第12章 死
Side of 如月
公安局内でのカメラに映っているのを最後に、槙島は行方をくらませた。
……情報はいっさい入ってこない…。
私は、ポツンと1人で溜息を零した……。
「どーしたの、悠ちゃん。
お疲れのようだけど……。」
縢くんがひょっこりと私の背後から顔を出して声をかけてきた。
気持ちを告白してくれた後でも、彼は前と変わらない態度で接してくれる。
……それが、とてもありがたかった。
『……ん〜…。
やっぱり、ちょっと…ね……?』
笑って見せると、縢くんは困ったように笑って言う。
「…悠ちゃんさぁ……。無理してるっしょ?
無理、しなくて良いんだよ…。
……少なくとも、俺の前では…ね……?」
いつもは、子供っぽくて愛らしく見える彼が…"頼れる男の人"に見えた気がした。
…縢くんは、狡噛さんと私とのことを知っているのだろうか…。
もし、彼が知っていて私にこんな風に優しくしているのだとしたら……。
私は、胸が軋むような感覚に襲われる…。
…応えられなくて…ごめんね…。縢くん……。
『……うん。ありがとう。
縢くんがそう言ってくれるから、いっつも救われてるよ。
…本当に、ありがとう。縢くん…。』