• テキストサイズ

PSYCHO-PASS ー真っ直ぐな瞳ー

第11章 逃走




Side of 槙島


悠に拘束され捕まった後、護送車の中で一旦僕の記憶は途切れた。
…空気上に撒かれた睡眠薬でも、嗅がされたのだろう。

次に目が覚めた時に最初に視界に映ったものは……。
数メートル先も見えない程の暗く重い暗闇…。

上体を起こして、辺りを窺う。
…どうやら、誰もいないらしい……。


…悠。
君は、僕にこれ以上罪を犯させたくない…犯して欲しくない。
と、そんなことを言っていたね……。

だったら、僕と一緒に来て欲しかった。

僕には、どうしても君が必要だった…。

僕の片想いだったのだろうか。
…あの時も、今までも……。

そして、これからも……。

…独りよがり、だな……。
笑わせてくれる。そして、同時に自分に呆れもした。
悠の気持ちが…僕に向いていなかったとしても、僕は君に傍にいてほしいと思った。……そう願った。
それが、無理やりだったと…何か弱みを握り君に強いたことだとしても、それで良いと思った。

僕は自嘲気味に笑ってからふっと息を吐いた。

手探りで室内を歩き回る。

部屋はそこまで広くはなく、僕自身に拘束具はついていなかった。
ボタンのようなものを見つけ、押してみる…。

すると、部屋の明かりが点いた。
いきなり明るくなり、その眩しさに一瞬目が眩む。

数秒の間じっとしていると、真っ白だった視界がじわじわと色を取り戻していく。
辺りを再び見回してみる。
すると、窓も物も…何も無い小部屋に1つだけポツンと取り残されたような扉を見つけた。

……僕は1つ溜息を零して立ち上がる。
その扉には鍵がかかっていなかった。…元より、鍵がついていなかった。

…僕は、その部屋からそっと立ち去ったのだった。


/ 167ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp