Welcome to our party 2 【気象系BL】
第12章 金木犀の涙 by うめ
金木犀の木の下から…俺はまたあの部屋を見上げていた。
すっかり暗くなった景色の中で浮かび上がるあの人の居た部屋。
あの人は…まだあそこに居るのだろうか。
するとその窓がスーッと開く。
そしてそこから顔を出す人影。
俺の逢いたかったあの人…。
「じゅ…」
手を上げて声を掛けようとしたけれど…それは隣に立った男によって阻まれた。
楽しそうに会話する2人。
男は潤さんを抱き締めながら…その白い身体に唇を落としていた。
男の身体を押し返すも…潤さんは嬉しそうに笑ってる。
………何だこの感じ…。
胸が…ざわざわする。
やがて男の姿は見えなくなり、潤さんは奥に向かって手を振っていた。
帰ったのか…?
やがて視線を落とした潤さんと目が合う。
「あ…その…俺…」
「あんたまさか朝からずっと居たんじゃないよね?」
「いえ…その…ずっと頭から離れなくて…貴方の事が…」
「………」
「俺…」
「ここに来る?」
「え!?」
「そこ左手奥に裏口がある。そこからおいで。入って右に行くと階段があるから上がって1番奥がこの部屋」
その言葉に戸惑っていると…俺を見下ろしながら潤さんがクスッとまた妖艶に微笑んだ。
その瞬間…俺は左手に向かって駆け出したのだった。