第87章 聖域　by millie

和兄が寮を出る日。
フロア長の部屋に引っ越した俺に和兄がくれたのはチップとデールの抱き枕と和兄が昨日読んだ答辞の原稿。
しかも3年分。

「翔兄の時のとまーくんのやつもね。来年いるはずだから」

ウインクしながら微笑む和兄。
答辞は主席の仕事。
つまり…主席で卒業しろってことだよね？

「抱き枕は智兄から…。『フロア長は一人部屋だから寂しくないように…』だって」
「…なんでリス？」
「私と智みたいだから…かな？もしくは翔さんがリスに似てるから？」
「意味わかんないし…」
「魔除けだよ、魔除け。女の子から貰った風のものがあったほうが余計な虫がつかないし…。ほんと心配なんだから…。

いい？休みになったらすぐに戻っておいで。後輩といえど甘い顔を見せちゃダメだからね？」

って…この間甘い顔を見せてたのはどこの誰だよ？
でも…ちゃんと守ります。
だって大好きだから、兄貴達のことが。

「あとね…兄さん達が『合格したら抱かれてやるよ』だって。あの人達、嘘付かないから…。頑張って？」

翌年、兄貴達と同じ医大の合格とともにこの約束は果たされた。


【END】