Welcome to our party 2 【気象系BL】
第85章 codename.Z by のさまじょ
気がついたらここにいた。
小さな頃の記憶なんかない。
一番最初の記憶は、荒涼としたグラウンドに立っている時のものだ。
木造の古い校舎
手入れの行き届いていないグラウンドと花壇
寒くて悴んでいる俺の手
それが、最初の記憶。
「二宮」
呼ばれて、顔をあげると松本が居た。
「次、移動だぞ」
ぼけっとグラウンドを眺めて、昔のことを思い出していたら、いつの間にか授業が終わっていたらしい。
休み時間でざわざわしてるのに気づかなかった。
「ああ…ありがと」
「なんだよ。眠いの?ボケっとして…」
「いや…別に…」
次は何の授業だったかなと思いながら立ち上がった。
「次は射撃だぞ」
いつも思うが、こいつは俺の思考でも読んでいるのか…
なんだか先回りされる。
「ありがと」
後ろにある俺のロッカーにつっこんであるジャージの袋を投げてくれた。
「行くぞ」
まあ、しょうがないのかな。
俺と松本は、所謂バディというやつで。
3年間、ペアを組まされてるからね。
お前のことなんか、お見通しってことなんだろう。
俺は…松本のこと、よくわからないけど。