Welcome to our party 2 【気象系BL】
第64章 流転 ーRU-TE-Nー by Namako
「ああ…、愛しています…、貴方だけを…」
「私もだ…私も其方を…」
燃え盛る…まるで地獄の業火のような焔の中で、二人は隙間と言う隙間全てを埋め尽くすかの如く肌を重ね、愛を囁く唇を互いのそれで塞ぐ。
焼け落ちた簾の向こうに見える庭先では、逃げ惑う人々が断末魔の叫びを上げているというのに…
「もっと…もっと強く…、もっと強く抱いて下さい…」
背丈よりも長く伸ばした漆黒の垂髪を揺らし、白い喉元を仰け反らせては、蕩けたような眼差しを向けるその先には、烏帽子を落とし、冠の下の髻を乱しながら、周りを取り囲む焔よりも熱い眼差しを向ける、清々しささえ感じさせる青年の姿。
「ああ…、これ以上強く抱いては、碧の君…其方を壊してしまいそうで…」
「いいえ、構いません…。翠の君…貴方に壊されるなら…私は…、私は…本望に御座います…」
「なんと健気な…。ならば私も其方の想いに応えねば…」
翠の君と呼ばれた青年は、胡座をかいた膝の上で痩身をくねらせる碧の君の手を取ると、自らの両肩に絡ませ、その白き柔肌にある小さな実に唇を寄せ、その小さな実を啄むと、鼻先を擽る花の如き芳香を愉しんだ。
「まこと…其方は良い馨りがする…」
肌を濡らす汗と、精に塗れているというのに…
「私は貴方様の物…。心行くまでお愉しみ下さいませ…」
そう言って、翠の君を見下ろす双眸は、熱に浮かされたように潤んでいる。