第63章 リユニオン～巡り逢えたら～ by うめ

居心地のいい広い心療内科の一室。
そこに置かれた心地いいソファーに俺は居た。


「また…見たんですか？あの夢を」


「はい…」


「そうですか…」


眼鏡をグイッと上げながら…二宮先生が俺を見つめる。


「日に日にハッキリと…。こびりついてるんです。彼の感触や…声。たった今触ったみたいに…」


「そうですか…」


「雅紀…そう何度も呼んでました」


「雅紀…」


二宮先生が電子カルテに打ち込んでいく。


「大野さん。輪廻転生という言葉を知ってますか？」


「輪廻転生？」


「はい。死んであの世に還った霊魂が再びこの世に生まれ変わってくる事です。もしかしたら貴方の見た夢は…前世の記憶かもしれません」


「前世…まさか…」


「ここでそんな事言っちゃうといけないですけどね」


「輪廻転生…」


呟きながら俺はまた思い返した。
記憶の中で…俺に微笑み掛けるあの笑顔を…。