Welcome to our party 2 【気象系BL】
第6章 試写室 by のさまじょ
カツン…カツン…
革靴の音を響かせながら、一人試写室を歩く。
あれから映画が公開されて、空前のヒットになった。
忙しさに紛れて、俺と潤はふたりで会うことが少なくなってた。
でも潤のTwitterには他の俳優仲間と飲みに行ったことなんかが上がってて…
「もう…飽きたかな…」
この試写室は、潤が初めて俺のこと愛してるって言ってくれた場所。
懐かしくなって二時間ほど借りた。
なにを流すわけでもなく、俺は室内の明かりを落として座席に座った。
潤…
潤はきまぐれだったのかもしれないけど、俺は本気だったんだよ…
映画の役に流されたのかもしれない。
よくそうやってくっつく俳優と女優はいるから…
もしかして潤もそうだったのかもしれない。
映画には描かれていないけど、確実に役の二人には何かが芽生えていたのだから…
溜息を吐くと、なにかから隠れるようにシートに沈み込んだ。
「潤…俺は…ずっとお前の事が好きだったんだよ…」
声に出してつぶやいてみる。
少し、気が楽になった。
それでも…
こんなに淋しくても…
俺はきっと、潤を待ち続けるんだろう。
左手のリングに唇をつける。
涙、ひとしずく
END