Welcome to our party 2 【気象系BL】
第6章 試写室 by のさまじょ
「用意っ…スタートっ…」
監督の独特な調子の掛け声で撮影はスタートする。
今、映画の撮影中だ。
大学の講堂。
教壇には潤が立っている。
三つ揃えのグレーのスーツをかちっと着こなし、文学部国文学科の准教授になりきっている。
俺は社会人枠で入学した学生の役。
教授が急病で、急遽代打で教壇に立った准教授。
その姿があまりにも美しくて、目が離せないというシーン。
潤の撮影は終わって、俺の顔の抜きだけ撮っている。
だから別に潤は教壇に立ってなくてもいいんだけど、俺のためにわざわざ演技をしていてくれる。
セリフもなく、ただ見つめるだけのシーン。
やっぱり…美しい…
撮影中なのを忘れて、思わず見入ってしまう。
「カット!」
監督の声に、我に返る。
「チェック入りまーす!」
助監さんの声に、立ちあがって監督の居るモニターまで歩いて行く。
いつもはしないことなんだけど、潤がいつもチェックに立ち会っているから、習慣になってきた。
覗き込むと、ふわふわした表情をした俺が大写しで写っていた。
あちゃ…こんな顔してたのかよ…
ちらりと潤を見ると、微笑みながらモニターに見入ってる。