Welcome to our party 2 【気象系BL】
第42章 淡雪 by あにゃ
3月だというのにその日は雪が降った。
「うう〜っ、寒っ!」
俺は意味もなく学生服の上から腕を擦る。
横を歩く智くんを見ると、青いマフラーを鼻の辺りまでぐるぐる巻きにして、完全防寒態勢。
なのに、手には手袋は填まってなくて。
俺はその手を掴むと、自分のポケットに突っ込んで、指を絡めた。
智くんはチラリと視線だけをこっちに向けたけど。
何を言うこともなく、そのまま歩いている。
3年間、並んでいろんな話をした河川敷の芝生は、うっすらと雪化粧されていて。
それが余計に寂しさを募らせた。
「もうすぐ卒業式だね…」
ぽつりと呟いたけど、智くんからの返事はない。
わかってる。
寂しがってるのは俺だけだ。
「…引っ越しはいつなの?」
智くんが抑揚のない声で訊ねる。
「3月の末」
「そう…」
それっきり、会話は途切れて。
智くんが何を考えているのか。
結局最後までわからなかった。
「今日は、どうすんの?」
訊ねても、答えなんて返ってこなくて。
その代わりのように、絡み合った手がきゅっと握られた。