Welcome to our party 2 【気象系BL】
第4章 Nostalgic Romance by Namako
カラカラカラ…
照明を落とした部屋に古びた映写機が音を立てながら、スクリーンに見立てた白い壁に映像を映し出していく。
モノクロで映し出される、どこにでもある学び舎の風景。
その中に俺達はいた。
産休に入った女性教諭の代わりに赴任してきたこの学校で、俺は国語の教師をしていた。
そして俺の受け持ちのクラスの生徒、櫻井翔。
あの日戯れに回したカメラは、俺と翔が愛し合った証を記録していた。
茹だるような暑さに、全身から玉のような汗が噴き出る。
「暑…。ねぇ、先生、せっかく扇風機があるんだから、これを利用しない手はないと思うんだよね」
開襟シャツの襟元からセルロイド製の下敷きで風を送り込み、翔が恨めしそうな顔で俺を見上げた。
片肘を着いた木製の机には、数箇所を墨で塗られた教科書と、筆記用具が散乱している。
「だな…。こんな暑くちゃ勉強にも身ぃ入んないよな?」
首にかけた手ぬぐいで額の汗を拭い、扇風機の電源を入れた。
カタカタカタ…
扇風機が回り出すと、一気に風が流れ出す。
「最初っからこうすりゃ良かった…」
「でしょ?」
後悔する俺を、翔がクスクス笑う。
「生意気言うんじゃないよ」
威張る翔の頭に拳骨を一つお見舞いしてやる。
「ひっどーい…」
頭を摩りながら頬を膨らす翔。
膨れた頬を指で摘んでやる。
「いひゃいっへば〜」
涙目で訴える翔の手が、俺の手に重なった。