第27章 You 're the only one　by Namako

そして迎えた劇のクライマックス。
そう、問題の“ちゅー”の場面。

舞台上でカズが涼介くんを抱き締め…
顔を寄せ…

うあぁっ…！
ダメだ、見てらんね〜！

覚悟はしてたけど、いざとなると、やっぱり直視は出来なくで…
俺は思わず舞台から目を逸らした。

湧き上がる黄色い悲鳴…

お遊戯会は無事大盛況の内に終わった。


興奮冷めやらぬカズを自転車に乗せ、家までの帰り道…

｢パパ、お仕事は？｣

｢えっ、あ、うん…急にね、お休みになったの。お陰でカズの王子様見れたよ｣

“ちゅー”は見れなかったけどね(;^_^A

｢パパぁ、僕ね、パパが見てる、って思ったら、いっぱい頑張れたよ？｣

｢そっか…。パパもさ、カズが頑張ってるの見て、嬉しかったよ？｣

背中に感じる小さな温もり。

｢パパ…大しゅき…｣

パパもカズが大好きだよ？
それなのに…

｢パパさ、カズに好きな子が出来た、って聞いてちょっと寂しくなっちゃったんだ…。ゴメンな、カズ…｣

｢……………zzz｣

なんだ、寝ちゃったのか…

お疲れ様、カズ…

いつかは手放す事になる温もりだけど、今だけは“俺の物”だと思っていいよね？


おわり♥