Welcome to our party 2 【気象系BL】
第17章 永久に酔いしれし薔薇の香りに by Namako
ある日、青年は街で俄には信じ難い噂を耳にする。
あの館には、もう何十年も人は住んでいないと…
それどころか、今では館は廃墟同然なのだと…
嘘だ…
彼があの館にいることは、誰よりも俺自身のこの身体が知っている。
青年は彼の好きな薔薇を両手に抱え、館迄の坂を、髪が額に張り付くのも構わず駆け登る。
そして館を目前にしたその時だった。
青年の横を、芳醇な薔薇の香りを纏った一陣の風が通り抜けた。
あの人が待ってる…
青年は薔薇の門を潜る。
その先に彼はいた。
そして青年に気付くと、長い睫毛を伏せ言った。
「待っていたよ、雅紀」
青年は薔薇を手に、輝く様な笑顔を浮かべ、彼にそっと近付く。
「潤、あなたの好きな薔薇だよ?」
言いながら、触れるだけの口付けを落とす。
…形を無くした彼の屍に…
end