Welcome to our party 2 【気象系BL】
第17章 永久に酔いしれし薔薇の香りに by Namako
「終わりました」
全ての薔薇を活け終えた青年は、枯れた薔薇を一纏めに括ると、テラスの端に置き、代わりにアクリル製の箱をその手に抱えた。
「あと、これバス用の薔薇です」
青年が床にしゃがみ、箱の蓋を開けると、そこには色とりどりの薔薇の花冠が詰まっている。
彼はロッキングチェアーを降りると、青年の隣にしゃがみ、青年の額にかかる前髪を指で掬った。
「汗、かいてるね?」
季節はもうすぐ冬を迎えようとするのに、青年の額には玉の様な汗が浮かんでいる。
「走って来たから…」
青年は擽ったそうに肩を竦めると、また照れ臭そうに笑って見せた。
「おいで?」
彼が立ち上がり、青年に向かって手を差し出す。
それを青年も躊躇することなく取った。
彼に誘われるまま、アクリル製の箱を手に、リビングから続く玄関ホールを抜け、螺旋状になった階段を一段、また一段と登って行く。
「こっちだよ?」
階段を登り終えると、彼が甘い声で耳元に囁く。
廊下の突き当たりで足を止め、細工の施された扉を開けば、途端に溢れ出す薔薇の香り。
「さあ…」
薔薇の香りに誘われるまま、青年は部屋へと足を踏み入れた。