第5章 倉元の思い出
俺が肋骨が飛び出る大怪我をした時のこと。
あのときは本当に死にそうだったけど、医療班のおかげでなんとか助かった。気がついたときには病院のベッドの上だった。
バタバタバタバタ
誰かの走ってる音?こちらに向かってきてる…
大体の知り合いがお見舞いにすでに来てるし…誰?
ち「倉元!大丈夫?肋骨がなんとかって聞いたけど!」
ちさきか…来ないかと思ったよ。忙しい人だからね。
でも、来てくれたんだな。
「ああ、大丈夫大丈夫。生きてる」
ち「倉元のばか!いつもそうやって」
彼女は泣いていた。俺なんてちょっと仲のいい同期にくらいにしか思われていないと思ってた。
「ちさきがお見舞いしてくれたから元気になったよ」
ち「倉元…?」
「あ、お見舞い持ってきてくれたんだ!」
ち「そう、りんご…高いやつだからね!味わって食べなさい」
「うさぎりんごにしてー」
ち「子供か?仕方ないなぁ。私が優しいのは病人だけなんだぞ」
「病人とはちょっと違うけどね」
ち「昔は私、短刀みたいなクインケ使ってたんだ」
彼女は手のひらでくるくるとフルーツナイフを回した。あっという間にりんごがうさぎになっていた。
「あ、俺手が上手く動かないんだったぁ」
ち「わざとらしいな!本当におこちゃまなんだから!」
「見た目中学生に言われたくないな…」
ち「はい、あーん」
「ん」
いつもよりぶっきらぼうな感じ。照れ隠しかな。かわいいw←
ち「倉元、し、死んじゃ嫌だからねっ!」
バタバタバタ
「はい。」
なんか、いい年して青春だな…