第5章 燭台切光忠✕アムロフィリア【擬似盲目性愛】
「ん、……!」
急に抱きかかえられたかと思うと、付けられていた目隠しを外される。
ずっと暗かったからか、いきなり目の前が明るくなると視界がくらんで声が漏れた。
しかしそれもすぐに収まり、優しく私を見つめる光忠の顔が見えてきた。
たった少しの間だったのに、とても懐かしい感じがする。
「ごめんね、よく頑張ったね、すず」
優しく丁寧に手を握られて、凄く安心する。
「っ…ほんとだよ、…全く」
本来ならこんな事をされて凄く怒りたいのに、そんなに優しくて、寂しそうな顔をされたら怒る事などできそうもない。
それに、最早そんな体力も残ってなどなかった。
「………」
………それ以上に、あんなに激しい事をしたと今になって冷静に思い出し、恥ずかし過ぎて茹でダコのように顔が赤くなっていく。
「…………明日のおやつ、私の好きなのにしてくれたら許してあげないこともない」
それを隠すように光忠の手を強く握ってそっぽを向いた。
「っははは、うん、了解」
それを宥めるように片方の手で優しく頭を撫でられる。
それだけで、私はとても心が落ち着くようだった。
「でも……」
「え?」
「………また、しようね?すず」
「っ…!」
そう低く囁かれて、私は何も言えなかった。
………きっと、これからも、私は彼に逆らえないのだろう。