第9章 トラウマには溢れるほどの愛を...
-リョーマside-
朝から先輩にクラスまで送ってもらって
そのまま鴻汰とは一言も話さないまま午前中の授業が終わった
昼は先輩と一緒に食べる約束だし、そろそろ行くか
そう思って席を立とうとした時、
「リョーマ、これ.......アンケート記入してくれる?」
いつもより弱々しい鴻汰が俺の前に立っていた
俺の中であの時の記憶が蘇ってくる
俺を押さえつけた鴻汰の手
囁かれた言葉
体に残された鴻汰の熱
「ぁ、後で出しとく.....」
泣きそうになるのを堪えて返事をすると
鴻汰は何か言い出そうとしたのにそのまま俯いてしまう
「リョーマ!!!先輩来てるぞ!!」
入り口に先輩を見つけて
俺は鴻汰から逃げるようにして教室から出た
まぁ、実際逃げたんだけどね.....