第7章 横暴な要求
え?
目を見開いたまま固まってる私から、原田先生は唇を離すと、
「もう既に好きだぜ?」
唇を離したばかりの、息がかかる距離で…
「やっと落ちたか」
原田先生はニヤリと口角をあげて、私の唇を指でなぞりながら言う。
「な…」
なに事?
完全にパニックになった私は、言葉を発することも動くこともできずに固まったままだ。
そんな私に、原田先生はもう一度キスをして、
「で…?」
で?
で?って何?
ぼーっとしている私に、原田先生はクククと笑いながら、
「夢主(姉)、お前の気持ちを聞きてえ」
原田先生の長い指は、まだ私の顎を持ち上げていて、親指は唇をなぞってる。
「言えよ。」
少し微笑んでるその顔は、なんだか少し強引でもあり、優しくもあり…声は低くて甘い。
やっと脳が動き出した私は、顔に熱が上がるのがわかった。
穴が空きそうなくらい、至近距離でじっと目を見つめられたままの私は、目を逸らそうと顔を背けようとしてみる。
「目、見ろよ」
そうすれば、顎を強めに抑えられてしまって、原田先生の瞳から逃れることができなかった。
顔が熱い。
心臓の音はどんどん大きくなる。
「先生が……」
原田先生の綺麗な目が、私を見つめてる。
「原田先生が好き。」
何故か涙が溢れてくる。
「私のわがまま聞いてくれる?」
涙のせいで、声が震えた。
「なんでも聞くぜ?」
ニヤリと挑戦的に笑う原田先生に、
「私のものになって」
本日二度目の横暴な要求をする。
「望むところだ」
そう低く囁いた原田先生は、もう一度優しくて甘いキスをくれた。
私は自分のことを話すのが苦手。
でも…
原田先生にもっと私を知ってもらいたい。
だから…
これからは私の話をしよう。
同じくらい、原田先生の話も聞いて、
もっともっと原田先生を知りたい。
「先生、よろしくね?」
改めて原田先生の目を見れば、心が繋がったばかりでちょっとくすぐったい。
私を見下ろす原田先生の瞳が、今までで一番優しいものだから…
「先生大好き」
伝えずにはいられない想いをこぼして、私は原田先生を、ぎゅう、と抱きしめた。