第2章 サクラ散る頃
空は雲ひとつなくて、とっても綺麗。
桜は葉っぱをつけはじめていて中途半端な色になってる。満開の桜も好きだけど、この中途半端さも好き。
冬よりは暖かく、でもまだ少し肌寒い風が、頭をすぅっとすっきりさせてくれて気持ちがいい。
でも…
なんだろう。
とっても嫌な予感がするの。
私の予感は当たるから…
きっと何かが起こるんだろうな…
嫌いな古典の授業を受けたくなくて、3限の時間は保健室に逃げた。
山南先生は、困った顔をしながらも、私の話を聞いてくれるし、私の仮病を黙認してくれる。
山南先生と話をしていたら、廊下が少し騒がしい。
ガラガラガラ
と、乱暴に保健室のドアが開けられて、女子生徒をお姫様抱っこした原田先生がすごい勢いで入ってきた。
その勢いにつられて、私までベットに寝かせるお手伝いをする。
どうやら授業中に倒れちゃったみたい。
大丈夫かな?顔色悪い。細くて華奢な子だ。
「貧血でしょうね。まあ…大事ではないと思いますよ。」
山南先生がそう言うと、原田先生はものすごく安心したみたいで、はぁ~っと大きく息をはいた。
そして、ベットに横たわる女の子の頭をぽんぽんと撫でて、山南先生に「よろしく頼みます」と言って…
思い出したかのように、私の方を向いた。
「…んで?おめぇさんはここで何してんだ?」
「お腹痛いの。」
「ふぅん?…のわりには元気そうだが?」
「お腹痛くて死んじゃいそうなの!」
「ま、いいけどな。俺の授業は出ろよ?…んじゃ、山南先生、よろしく頼みますわ。」
「はい。このままお昼休みまでは、休んでもらうことになると思いますので、連絡をお願いしますね。」
了解、と言って、原田先生は出て行った。
お腹痛いことにしてるのに、体育なんて無理に決まってるじゃない。…そう思いながらも、六限の体育はちゃんと出ようかな、なんて考える。
ちょっとしたら、ベットから声が聞こえた。
山南先生が行く前に、ひょいっとベットを覗いてみる。
可愛らしい子が、なぜ私はここに?な状態に陥っていた。
山南先生と話をしてる様子からして、もう大丈夫そう。よかった。
お腹なんて痛くないけど、私もベットに横になる。
カーテンで仕切られて見えない隣のベットの可愛らしい子が、妙に気になったけれど…私は浅い眠りについた。