第4章 3
「……ちょっとエース」
「んあ?」
「どうすんのさこれ……」
「さあ……」
「さあ……じゃねえよ!! 周りをよく見ろ!! ま・わ・り!! 」
そう、僕たちは今海王類に囲まれています。
まさか喰われるオチじゃないよね……!?
……あぁ、思えば何一つとしていいことのない人生だったなぁ……。
せめて、そう。せめてワンピースを一目でいいから見てみたかっ……
「大丈夫だ!! 策はある!! 」
……海王類に囲まれてなにいってんだコイツ。
まあ、何とかなるならそれでいいのかな。
「……じゃあその策とやらで」
「おう! しっかり掴まっとけよ!! 」
またしても嫌な予感がする。
「よし……。どけェェェェェェい!!!!!」
エースは大声で怒鳴りながらストライカーの最高速度で海王類の群れを突っ切っていこうとした。
なんて無茶なことをするんだ……。
突然の轟音に驚いたのか、海王類達は次々に海の底へと帰って行った。
海王類さん……うちの馬鹿がご迷惑をおかけしました……。
「ふー……何とか逃げ切れたな!! 」
なんとも満足げなこの能天気隊長にそろそろ腹が立ってきた……。
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一方そのころ……。
「……何で俺が」
目的地だった夏島の気候海域を抜け、バサバサとグランドラインを逆方向に羽ばたく不死鳥……。
こんな不思議な光景、見たことも聞いたこともない。
……話は数十分前にさかのぼる。
「オヤジ、あの馬鹿どもがいなくなったよい」
俺はオヤジに先ほどのメモを渡した。
オヤジは小さなメモをまじまじと見ては、「そういうことか」と呟いた。
「マルコ」
「ん? 」
「お前、息抜きに追いかけて連れ戻してこい」
「え」
何で俺が、と続けようとしたらオヤジは楽しそうに笑いながら
「そのほうが楽しそうじゃねぇか……!! 」
と言い放った。
楽しそうなオヤジには逆らえないねぃ……。
「……わかったよい」
……そして今に至る。
「あいつら……一体どこだよい……!! 」
見つけたら絶対ぶん殴る。