第3章 2
「ちょ!! エース起きろ!! お前の帽子、カモメに持ってかれたぞ!! 」
「ん……?あ゛あぁああぁああぁあぁあ!!!!!!! 」
「ちゃんとした言葉で喋れよ」
んな奇声を発されても……。
「やべェこりゃあ一大事だ……!!」
そういうとエースは僕のポケットに入っていたメモ帳とペンを奪い取ると、何やら書き始めた。
そして破って甲板に投げ捨て、ばたばたとストライカーを準備し始めた。
なんだかもういやな予感しかしない。
「いくぞディアロ!! 肉……ごほん、帽子を取り返しに!! 」
「は?え、ちょ」
あれよあれよとストライカーに乗せられて発進してしまった。
なんで僕まで巻き込まれなくちゃいけないんだよ……。
「しかもこれ……カモメの方向から逆走してる? 」
「まちやがれ!! 」
聞いてない!!
「もういやだあぁあああぁああぁああ!!!!! 」
この能天気のことだ。帰る時のことなどさらさら考えてないだろう。
僕の叫び声はグランドラインの空にむなしく響き渡った。
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仕事がある程度片付いたから俺は気分転換に甲板に出た。
じりじりと照りつける夏島の日差しに思わず顔をしかめた。
「こりゃあ部屋にいたほうが涼しそうだねぃ……」
部屋に戻ろうとすると、ふと一枚の紙が落ちていることに気がついた。
「……?これなんだよい? 」
拾い上げてまじまじと見てみた。
なんだかミミズがのたくったような文字だ。読みにくいことこの上ない。
「……汚い字だねぃ……何々……? 『帽子取り返してくる!! エース ディアロ』……はぁ」
思わず盛大な溜息をついてしまった。頭が痛いよい。
「あいつ……馬鹿かよい」
仕方なく俺はオヤジに報告することにした。
ハイパー能天気な二番隊隊長+不運な隊員と苦労人不死鳥の追いかけっこは、ここから始まったのであった。