第2章 1
ガンガン照りつける日差し……
まだ朝なのに!!!
運悪く夏島の気候海域でエースの馬鹿が舵を折ってしまったので、白ひげ海賊団は朝から気力ゼロだった。
マルコは朝から機嫌悪くなるし……もう……
「なんだこの暑さ!! 夏か!! 」
うおおお!! とエースが叫んでいる。
いや、エースのせいだし。
「……そりゃ、夏島の近くだし」
「……だよな」
はぁ、とお互いにため息をついて空を見上げた。
鉄板並みの暑さ……は大げさだろうが、とりあえず暑い甲板で僕たちはぱたぱたと泳ぐ海賊旗を恨めしそうに見上げた。
「何だよ、あいつ涼しそうに……」
「僕も海賊旗になりたい」
そんな冗談を言っていたら突然エースが立ち上がった。
「……肉」
「は?」
「肉が食いてェ!! 肉ー!! 」
一分にも満たない短いやり取りだったと思いながら僕は無視を決め込んだ。
「あ゛っつーい……」
マルコは朝から仕事とか言って部屋にこもってるし、オヤジはといえば「熱中症予防だ」とか言って部屋で寝てるし……
(ここにろくな人員はいないのか!! )
心の中で叫びながら、なんだか静かになったなと思い隣を見やると、何とも気持ちよさそうに寝ているエースの姿があった。
「てめぇ……」
人がどうしたものかと考えているのに何たるザマだ隊長めが!!
さっきまで肉肉騒いでたくせに……まったく……
こんな能天気な隊長の二番隊に来た自分の不運を呪った
(……まあ、この人はそれでも強いんだけどね……)
エースはいつもアホみたいな事ばっかりやらかしてるけど、なんだかんだいってやる時はやるタイプだ。
人一倍仲間思いだし。そこんところは尊敬してる。
まあ、本人には言わないけど。
そんなことをぼんやりと考えていると、一羽のカモメが飛んできて、エースの帽子をくわえて飛び去って行った。
ん?……飛び去って行った!?
「ちょ!! エース起きろ!! お前の帽子、カモメに持ってかれたぞ!! 」
僕はあわててエースをたたき起した。