藤ヶ谷先生、大好きですよ?3ーThirdSerieSー
第16章 ♡Story63♡ 思い出した約束、そして…
太輔side
「確か、バルコニーがある客室って……ここか?」
俺は百合を探すべく、1階の大広間から3階の客室広間に来た。
ちょうど目の前の大きな扉は、少し空いていた……
「……百合のやつ、この部屋にでもいるのか?」
太輔はドアを開けた。すると窓の方から風のようなひんやりとしたものが吹いた。
「っ……百合?」
ドアを開けたその先、バルコニーに出るであろう扉が開いており、
その真ん中には綺麗なミニドレスを纏う百合が佇んでいた……。
「……百合、「っぅ……」っ……百合?」
声を掛けようとしたが、百合は何かを悲しむかのように顔を俯かせた。
「っぅ……ぅぅ……っ和真、くん……ごめん、ごめんね……
わたし…わたし…わたし……何も知らないで……!」
なぜか九条に泣きながら謝る百合、一体、何があったのだろうか……
太輔は少しずつ百合の元に歩み寄り……
「百合……」
「っ!?」
百合に後ろから声をかけ、百合は涙を流したままこちらに振り返った。
「百合……」
「っ……太、輔……」
「百合、お前……」
一体百合は、何を思い悩んで泣いているのだろうか……早く、
悲しみから開放してあげたい……
「っごめん、太輔……私、さっきアンクレットの意味知ってさ……
ごめん、ね……」
「そのことは、もういいんだ……それより、お前……泣いてるけど……」
多分、百合はそのことで悩んでいるんじゃない……
「っ私、さ……つい今ね……」
「……。」
でも、些細なことでも……俺は百合を、守る……。
守ってみせる……。
「和真くんとした、約束……思い出して……」
「っ……そう、なのか……」
少し、驚いてしまった……まさか、百合があの時の記憶を思い出しただなんて……
「和真くん、この9年間ずっと約束を守ろうとしてたの……でも私は、
そんなことすっかり忘れて、和真くんのこと、ついこないだまで忘れていた……」
「っ百合……」