第6章 引き抜き
「神那ちゃんこそ良いの?
書類整理は」
「あんなのすぐ終わるから問題ない」
「それもそうだね」
ピーンポーンピーンポーン。
という放送音が流れた。
『脳神経外科の神崎先生…』
「あちゃ、僕か」
『胸腹部外科の霜月先生…』
「私も?」
ここへ来て、初めてのことだ。
『至急救急外来までお越しください』
救急外来…。
「行こうか、神那ちゃん」
「そのつもり」
一体なんの用かは分からないけど、そこに患者が居るのなら私は迷わず赴く。
「どうしたの?」
神崎が全体に尋ねる。
「あっ、神崎先生…機械女」
「ちょっと、女の子に対してその言い方は酷いんじゃないかな」
「神崎、良いから。
今は先に状況確認」
「ごめんね、そうだった。
どういうことか説明してくれるかな?」
今は争っている場合ではない。
神那に言われ、神崎は瞬時に理解・対応した。