第5章 1864年 ー文久四年・元治元年ー 【前期】
「そういえばさ~、お前、総司とやったとき竹刀だったよなー?」
「うえ?…あーうん。竹刀しか触ったこともなかったかなー。」
「木刀・・・重くねえ?」
「重いけど・・・好きだから苦にならないのだ!」
竹刀しか持ったことのなかった私には、正直木刀は重かった。けど、それも慣れてきたのは平助のおかげだ。
「…へえ。…ちょっと見直した。」
そう言って、平助は真剣な眼差しを向けてくれた。
「俺さー。今まで、女ってこういうの好きじゃねえと思ってたんだ。」
「・・・女の人でも剣術習う人いるでしょ?」
「いるんだろうけど、少ねえよやっぱ。とりあえず俺は会った事ねえ。」
この時代の、女性剣士ってどんくらいいるんだ?いないのか?
あれ、でも坂本龍馬がいた千葉道場とかにおとめちゃんっていう強い人いたような?
うーんはっきり覚えてないな。
「ま、男装してなきゃなんないし、剣術に燃えてるくらいがちょうどいいよね!(帰れないしねっ!)」
「お前とは、ほんとにダチみたいになれっかもな!」
「ほんと?!うれしい!友達欲しかったんだよねーどうせなら!」
「どうせならって…お前変なやつだな。」
「まださ、真剣握った事もないペーペーだしさ。人と斬り合う覚悟が出来てるかっつーと微妙だしさ。でも、私に出来ること頑張るから、仲良くしてくれると嬉しいよ!」
「おう!任せとけ!お前と稽古すんのも結構楽しいしな!」
「うっしゃ!よろしくね!平助!」
「おっま…!馴れ馴れしいな。」
そうやって呆れながらも、平助は笑ってくれた。
年も近いし、ほんとに仲良くなれそうだ。
単純にそれが嬉しかった。