第4章 興味と疑心と大義名分
夢主(姉)は困ったような顔をして土方を見た。
「私はここを出ても行く宛ても帰るところもないので、ここに置いていただけると助かります。…でも、もし今ここで死ねということでしたら――」
そこまで言い切ると、夢主(姉)はキッと表情と居住まいをただし両手をつき、すっきりとしたまなざしを土方に向ける。
「―――妹が負けるところを初めてみました。…妹を、よろしくお願い致します。」
夢主(姉)の綺麗なお辞儀を、全員が吸い寄せられるように見ていた。
「…妹は俺の小姓として働いてもらう。おめえは雪村と一緒にしばらくは新選組預かりとして保護する。大人しくしていれば悪いようにはしねえ。怪しい動きを見せたら斬る。それだけだ。」
さらに眉間に皺を寄せた土方は、短くそう言い放ち、部屋を出て行った。