第4章 興味と疑心と大義名分
「妹の方の処遇はそれで決まりだ。姉の方はどうする?」
土方はこれ以上沖田につっかかられるのを避けるように話を変えた。
「あーあの姉貴なー…」
原田が苦笑する。
「あの姉貴は色気がありすぎんな…」
原田のそんな発言に、今朝の「脱いで見ろ」事件を思い出したのだろう。
藤堂と永倉は真っ赤になりつつ、気まずそうにそっぽをむく。
「・・・昨夜、妹が『新撰組』と対峙した折も、さほど取り乱すことなく俺に礼を言ってきました。」
ずっと黙っていた斎藤が前に出る。
「また、今朝の総司と妹の試合で総司が暴走しかけた際は・・・」
「暴走ってひどいなあ。ちょっと楽しくなっちゃっただけなんだけど。」
「総司・・・お前は黙ってろ。」
沖田の混ぜ返しを土方が制し、斎藤が気を取り直して話しだす。
「今朝の総司の暴走の際は、いつの間にか総司の間合い一歩手前まで詰め寄っていました。いつの時点でそこまで行ったのかわからないほど、素早く気配も感じられませんでした。」
「・・・」
斎藤がそこまで話し終わると、皆一斉に黙り込んだ。
夢主(妹)の影に隠れて気付かなかったが、夢主(姉)は得体が知れない。
土方が舌打ちをする。
「・・・食えねぇ女だな。」
「夢主(妹)さんが嘘をついている…とまでは思いませんが、もしかしたら夢主(姉)さんは何処かしらの間者かもしれませんね。」
山南が気難しい顔をして黙り込んだ。
重苦しい空気を破るように、原田が言葉を発する。
「とりあえず、あのねーちゃんの話しを聞いて見るのもありなんじゃねーのか?」
「…斎藤―――」
斎藤は夢主(姉)を連れてくるべく、部屋へ向かって歩き出した。