第3章 まさかの手合わせ
夢主(妹)はこれからの試合のことを考え込む。
・・・力では勝てない。
そして身長もかなり違う。
しかも相手は何度も修羅場を潜り抜けてきた猛者であって、普段は真剣を帯刀している。
まさか私があの沖田総司と戦うことになるなんて。
帰ったらとりあえずお父さんに自慢しよう・・・。
この間までは考えたこともなかった。
つくづく… 何があるかわからない。
気を抜けばただでは済まないな…
夢主(妹)は、あれこれ考えを巡らせる。
少しすると、斎藤が夢主(妹)に近づき、見慣れた竹刀を手渡してきた。
「あんたの荷物から取ってきた。手に慣れたものの方が良いだろう。」
「ありがとうございます!」
斎藤に礼を言うと、沖田と向き合った。
「…思いっきりかかってきてね?うっかりすると殺しちゃうから。」
沖田が笑顔で夢主(妹)に告げる。
「総司!分かってるな!」
土方が沖田をたしなめると、沖田が心底めんどくさそうに肩をすくめた。
そんな沖田に夢主(妹)は、
「言われなくてもがんばります。死ぬ理由が『うっかりしてたから』なんて嫌ですから。」
と、睨みつけながら中段に構えた。
・・・剣道の試合とは・・・やっぱ違うよね?これは戦いってやつ?倒れたほうが負けっぽいな・・・
もちろん倒れたほうが負けなんていう戦いなどしたことはないが、夢主(妹)は生きるためにもやるしかない、と心に決めた。
夢主(姉)はその様子を、近くで見守っていた。
夢主(妹)に何かあったら飛び出せる位置を見極めている。
沖田の真意も確かめたかった。
この人危ない…
夢主(姉)の脳内は警報を鳴らしている。
そして沖田もすっと表情を変え、中段に構えた。