第2章 不安と殺気と事情聴取
「やります」
ここで勝負をしておくことで、悪いようにはならない。
さっきの土方の表情から夢主(妹)はそう感じていた。
どれくらい使えるのか、確かめておきたいんだ。
千鶴ちゃんの事もあるし、私とお姉ちゃんだけが此処から出られるとは思えない。
てか、出てもどうすればいいかわからないし…。
「おいおいまじかよ!おもしろそだな!」
永倉が身を乗り出す。
「久しぶりだなーこの感じ。いいじゃねえかおもしろい。」
原田も楽しそうに立ち上がる。
「そうか!私も夢主(妹)君の腕に興味があるなあ。」
近藤もうなずいている。
「でも総司相手だろ?大丈夫かー?」
藤堂は幾分心配そうにしている。
「はあ…すまないねえ。ここの輩は剣術勝負となると見境がなくなるんだよ。」
井上はすまなそうに夢主(妹)を見た。
「しかし、沖田君がここまで興味を示すのも珍しいですね。一度見てみるのもいいでしょう。」
山南もこの勝負に賛成のようだ。
誰も止めようとしないこの展開に、千鶴は戸惑いながら夢主(姉)を見ている。
その夢主(姉)は、何を考えているのやら、黙って沖田を見据えていた。
そうして…夢主(妹)と沖田の勝負が決定したのだった。