第7章 1864年ー元治元年ー【後期】
茶を煎れに行った夢主(妹)のパタパタと走る足音を聞きながら、さっきの会話を思い出す。
―――私は!重さを感じながらその重さに耐え抜きたい。そしてその重さに生きたいです!
まるで武士になりてぇって元服を待つ小姓じゃねぇか。
小姓には違いねぇが…お前は女だろ?
こんな荒くれた男が集まった新選組にお前はすべてを賭けるつもりか?
って…こんなとこに閉じ込めたのは俺か…
―――私はもっともっと強くなりたいし極めたい。それにはちゃんと重みも感じなければいけないと思うんです。
一端の剣客みてぇなこと言いやがって。
覚悟は出来てるってことか…
―――私は土方さんの小姓で…新選組の一員、ですよね?
思わず手放すつもりはねぇ、とか言っちまったが…
お前はそれでいいのか?
やっと新選組の功労が世に認められようとしてんだ。
ぐずぐずしてる暇はねぇんだよ。
女にかまけてる暇もねぇ。
だが…お前を手放したくねぇってのも本音だ。
ちっ…欲が出たな。
俺は鬼になるんだろ?
自分の机の背には、夢主(妹)の専用の机がある。
そこには山積みになった書物と書類達…そして夢主(妹)が独自で作っている「手帳」があった。
それらを眺めながらそう考えを巡らせていれば、ぱたぱたぱた、と、夢主(妹)の足音が近づいて来る。
その音に耳を傾けて、口元を緩ませる自分に気づいて苦笑が洩れる。
捕まっちまってるのは俺か。