第6章 1864年ー文久四年・元治元年ー【中期】
「や、やっぱ身の程知らずでしたよね…ごめんなさい」
一気に気を落として夢主(妹)の俯く顔を見て、俺は頭を掻きながら盛大な溜息をついた。
「ど、どうしたんですか?!」
焦って顔をあげた夢主(妹)の頭をがしがしとなでる。
優しくなりすぎないように。
壊さないように。
慎重に。
「いや、お前はそんくらいの力はある。他に誰もいない時は稽古をつけてやってくれ。お前の為にもなんだろ。」
「は、はい!ありがとうございます!」
…こういう顔をさせてぇだけなんだよ。
「よおし!じゃあ、明日の準備さっさと始めちゃいますね!」
さっきまで気まずい空気出してたのが嘘みたいに明るくなって、今度は俺の袖を引っ張って歩き出した。
女の扱いにゃあ慣れてたつもりだったが。
俺は苦笑しながら夢主(妹)の後姿を見つめる。
「あ!ところで、明日はどちらにお出かけですか?」
急に上を向いてこっちを見てくる夢主(妹)の額を指ではじく。
「てめえ。俺の気持ちも知らねえで…」
さっきまでの気まずさなんて忘れましたって顔しやがって。
まあ、いいか。
最初に見守るって決めたんだ。
ただ、もしお前から来たら…
そんときは
「容赦しねえ」
すっかり呑気な顔してやがる夢主(妹)の頬をつまみ、そのまま置いて部屋に戻った。