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好きなだけじゃダメなのか

第5章 拘束


黴臭い牢に入れられて3日が過ぎた。
罪人になれば、国の王女であろうと
服装など気にされないようで、
3日前から同じドレスを着ている。

「お腹空いた…」

きっと体重は大幅に減っている。
嬉しくない減量だ。
などと父を恨んでいると、
堅い岩牢に靴の音が響いた。

「…姫」
「ハビル様…」
「こんなにやつれて…」

暗い牢の中に、何かが輝いた。

「ハビル様…泣いてるの?」
「…だって、姫が」

久しぶりに見る彼は、髭も伸び、
顔色も悪く、目元には深い隈が
できていた。

「ハビル様こそ、やつれてる」
「…ご無礼、申し訳ございません」
「その伸び放題の髭のこと?
いいわよ。そのほうが色っぽいわ」

ハビル様が哀しそうに笑う。

「姫」
「はい」
「交際していた侍女のことなのですが」
「私の代わりの、侍女ね」
「…別れました」
「どうして」
「振られてしまいました」

柵を握り、自嘲ぎみに話し出す。

「私の近くにいるラビルに惹かれて、
私の魅力が何かわからなくなった…
よく考えたら、私には、姫がいるし
別によくない?…みたいなことを、
小一時間」

なんてひどい女だ。
あのラビルに惹かれるなんて、
目が腐っているに違いない。

「昔からなんです。私が惚れた人は
みんな、ラビルが奪っていく」
「…そう」
「でも姫だけは、ラビルが嫌だって…
ハビル様のほうがましだって、
仰ってくださった」
「そんなこと言ったかしら」
「私が去った後の部屋で泣いたのは
誰です?」
「…聞いてたの?」
「聞こえたのです」
「…私よ」
「やはり私には姫しかいない。
あなたが好きです、カノン王女。
私と結婚してほしい」
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