第2章 プロローグ
静寂が真夜中の町を包み込む
あまり平和とは言えないその街の一角に彼らのアジトはあった
パンッ
眼帯をし、手袋をつけた少女は黒光りの銃を的に向けて打った
見事真ん中に的中し、少女は無言で銃を置く
「流石だな」
隣で見ていた青年が歓喜の声を上げた
彼は青葉城西──通称『セイジョウ』と呼ばれるマフィアのNo.2。岩泉一
「ありがとうございます。岩泉さん」
そう言った少女───名は花村園子
かなり凄腕のスナイパーだ
「だから敬語は止めろ。年は同じなんだから」
「..いえ」
岩泉が言うと園子は控え目にフルフルと首をふった
と、ドアがバンッと勢いよく開く
「二人とも~!もう寝なよ~!」
そう言いながら入ってきたのはセイジョウの首領。及川徹
「もうそんな時間か」
「...終わりますか」
二人は時計を見ると静かに片付け始めた
「ねえ。園子~」
「なんですか?及川さん」
「園子さ。俺らの事、嫌い?」
園子の肩がピクリと動いた
及川は真剣な目で園子を見ながらいった
「そんなわけ無いじゃないですか。急に何を言い出すんです?」
「じゃあさ..」
グイッ
及川は園子の腕を引っ張った
「この手袋、外してよ?」
「っ..!無理です!」
園子は及川の手を無理矢理振りほどいた
「..先に出ますね」
そう言い園子は扉を閉めた
「..岩ちゃん」
「何だ」
「園子。どう思う?」
「..さあな」
そう言うと岩泉も扉に近付いた
そしてドアノブに手をかけ
「あいつが気になるのも分かるが、固執しすぎるなよ。..頼りにしてるから」
そう言って岩泉も部屋を出た
「固執しすぎるな..か」
残された及川は一人笑みを浮かべていた