第7章 傷は痛む
「園子ちゃん」
男は優しく園子に声をかける
猿轡に手錠を外された状態であり、真っ赤なワンピースを着せられていたが園子のその眼光が癒える事は無かった
黒い立派なソファに座り只じっとしている
男は彼女の手前に跪くとその手に優しく触れた
「..俺を"買った”理由は何だ」
淡々とした口調で言うと男は一瞬ポカンとするがすぐにクスリと笑った
「"買った”とは人聞きが悪くないかい?」
園子と男の目が合った
「君ならこの状況がよく理解出来ているだろう?」
「質問に答えろ」
それでも凛とした声で言葉を並べていく
男もにこやかな笑みを浮かべ、気分を害したような様子は無い
「私が頼みたいのはね、息子達の護衛だよ」
「..分かった」
園子は一瞬目を見開いたが、すぐに元に戻ると小さく頷く
うなじ辺りでバッサリと切られたえらく不揃いな髪が微かに揺らめいた