【イケメン戦国】*ヒメゴト* 戦国時代に舞い降りた現代の姫
第6章 嗚呼、相棒。其処にいるか
織田信長を殺そうとした犯人を、
知っている――。
「犯人、だと?」
「どういうことだ」
その皆の反応は、まだ事件の真相にたどり着けていないという証拠だった。
もちろん昨日起こった事件ではあるが、躍起になって犯人を捜している途中だろう。
「三成くん、私の荷物をお願いしても良い?」
「はい、これですけど……ここに出すのですか?」
三成は戸惑った表情を浮かべていた。
それもそのはずだ。
「いいから!」
三成が隠すようにして持っていた由里の荷物を、由里はひったくるように奪った。
すると、ゴトンと、差し込んでおいた長い『ソレ』が音を立てて落ちてしまった。
「おい!! それ……」
「刀?」
「どうしてこれを貴様が持ってる」
そう。
由里の持ち物に差し込んでおいたのは、刀だった。
それも、立派な長い刀。
「私、信長、様を助けたあと、森に逃げ込んだでしょう?
その後で……会って渡されたのよ、犯人に」
由里はその時のことを忘れていなかった。
否、忘れられるはずもなかった。