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第1章 決意


わたしにママはいない。
ついでにいうと、血の繋がった身内がいない。

わたしに物心がついた時にはすでに孤児院にいた。

ああ、気にしないで。
別に、そんなに悲しい運命をたどっている、って訳じゃないから。

孤児院のみんなはまるで家族そのもの。寂しい、なんて思ったことなんてなかったから。

そして12歳の時。
わたしの里親になってくれる人が見つかった。彼の名前は星宮 幸久(ゆきひさ)。わたしのパパ。

そこそこ有名な画家で、たまに個展とか開いている。結構コアなファンもいたりするんだよ?


そんなパパから結婚する、と突然告げられたのが、つい2ヶ月前。相手の理沙さんに会ったのが、つい1ヶ月前。

ふたりとも、わたしに反対されるんじゃないか、なんて思ってたみたいだけど、わたしがふたりを反対する、なんて出来ないに決まってる。だって、パパには幸せになって欲しいから。

それに、理沙さんは可愛らしくて優しい女性だった。

そんなの、反対なんてできる訳ないじゃない。
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