第2章 君を守る【カラ松】
side
私は今、幸せでいっぱい。
私には好きな人がいる。
それは、演劇部の先輩
カラ松先輩
新入部員勧誘の催しでカラ松先輩の演技に魅了されて、稽古場に通ううちに好きになってしまった。
そして、カラ松先輩を影ながら支えたいと思って、演劇部の裏方として入部した。
その私が今、二か月後の文化祭のための稽古でカラ松先輩と同じステージに立っている。
裏方の私がなぜステージになっているかというと・・・
顧問「文化祭の舞台は三人の騎士のお話です」
顧問の柚木先生が舞台の内容を説明した。
三人の兄弟の家は代々王家護衛の騎士。
物語の主人公であり、長男のアレックスは剣の腕はすごいものの怠けてばかり。そんな彼が愛する人を亡くし、自分の無力を痛感し剣の修行に励み王家と国を守り、新たな愛を見つける。
そして次男アランは隣国の少女と恋仲にあった。しかし、自国と少女の住む国が戦を始めてしまったため両親に別れさせられてしまうがお互い忘れられず駆け落ちするというお話。
柚木「配役はもう決めてあります」
場がざわめく。
無理もない。
この学校の文化祭で演劇部の舞台は毎年超満員の大目玉なのだから。
そして、この舞台の成績で年末に行われる一年で一番大きな大会の配役が決められるのだ。
柚木「主人公アレックスは篠崎」
篠崎「はいっ!」
柚木「次男アランは松野」
カラ松「はい!」
女子部員がざわめき立つ。
ヒロインとカラ松先輩演じるアランの恋人役に皆なりたいようだった。
柚木「三男ベネットを上沼
ヒロイン、エイダを加藤」
先生が名を呼ぶたび拍手が起こる。
柚木「アランの恋人クレアを!」
どよめいた。
拍手は起こらない。
皆、胸の前で手の動きを止めきょろきょろとする。
「誰だ?って」
「ねぇっ、あの子じゃない!?」
「まさか・・・裏方でしょう?」
柚木「静かに!!」
先生がパンパンと皆を制止し注目を促す。
柚木「クレアはヒロイン的重要な役ではあるんだけど、裏方であるに任せたいと思っています。」
私は驚きのあまり持っていた台本を落としてしまった。