第12章 揺れる思い
迷いの無い瞳。
強い思いを宿した強い瞳。
揺るぎのない、確かな願い。
諦めない、諦めたくないというその目は――私の激情を掻きたてる。
「っ……!!」
噛みしめた唇が切れ、舌先から苦い味が口いっぱいに広がる。
鼓動に合わせてじんじんと右手が痛む。
けれども今はそんなことを気にする余裕なんてなかった。
「いくら努力してもどうにもならないことだってあるんだ!
君たち”キセキの世代”に挑んでみても結局はみんな勝てなかったように!!」
「!!?」
黒子がはっと息を呑む。
彼が見せた一瞬の隙に、私は脱兎のごとく駆けだした。
背中越しに聞こえる彼の声も、高鳴る鼓動も、息苦しさも――何もかも捨てて、とにかく逃げ出してしまいたかった……。