第12章 揺れる思い
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中学校三年生の秋のこと。
全中が終わり、新学期が始まって一ヶ月ほどが経った頃だった。
私は偶然君と会った。
君はひとりバスケットゴールの前でシュートを打ち続けていた。
そのときの君の表情は、悲しげで、寂しげで、苦しげで、悔しそうだった。
あのとき君の姿を見て、どうしても放っておくことはできなかった。
だから話しかけた。
君は「あんなバスケは嫌い」と言った。
君はそうやってバスケから逃げようとしていた。バスケを手放そうとしていた。
けれども、君はバスケと向き合おうとしていた。
だから、願った。
どうか君が強くなれますように。
どうか君が仲間と笑いあえますように。
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