第9章 友情と愛情
「午後の授業、なに?」
「俺か?俺は家庭科だな」
「調理実習?」
「なんでわかるんだ」
「ううん、なんとなく」
休み時間はまだある。生徒会室のカギも閉まったままだ。
「何つくるの?」
景吾の膝に横に座る。景吾が当たり前のように腕をまわしてくれる。
お姫様抱っこのような態勢は顔が近くなって、好き。
「今日はマドレーヌだな」
「え、おいしそう。ちょうだい」
「教室に届けてやろうか?」
景吾が面白がる。
「やめてよ、大騒ぎになっちゃう」
「そうだな」
髪を撫でられて気分が良い。胸板に頬を寄せると温かくて安心する。
「離れたく、ないな」
「じゃあずっと傍にいろ」
「…景吾って時々無茶言うよね」
顔を上げるとキスが落ちてくる。
何度か啄ばむようなキスをしたあと、包み込むように抱きしめられた。
温かい。
自信家なのに、やきもちやきで、私のことが大好きな、私の大好きなひと。