第3章 過去
キャプテンと部長は、ほとんど同時に噴き出した。
「ないな」
「ないわね」
2人とも盛大に笑う。そんなに面白かったんですか?
「だいたい、私彼氏いるから」
「そういうことだ」
なんだか恥ずかしくなって、あの、なんかすみません、と頭を下げて、その場を後にしたけれど、あの憂いたアイスブルーの瞳が脳裏に焼き付いて離れなかった。
2年生に上がる頃、長太郎はぐんぐん背が伸びて、若も追いかけるように身長が伸びた。
私の身長は、少しだけ。
「日吉、調子良さそうだね」
部活中には苗字で呼ぶ様にしている。
「ああ、まぁな」
長太郎より少し伸び悩んでいた若も、焦らず練習に取り組んでいた。
珍しく榊監督が練習に顔を出した時、若のフォームに違和感がある、と言った。
実家が古武術の道場である若にとって、それが自然体だから、そのままテニスをしろとのことだった。
若はあっという間に上級生を押しのけ準レギュラーまでのし上がり、私は若に続いて準レギュラーのマネージャーになった。
長太郎は一足先に正レギュラー。
2人のパワーは本当にすごい。私ももっと、サポート出来るようになりたい。みんながのびのびテニスを出来るように。
キャプテンは質問があるとすぐに聞いてくれるし、私自身も成長を感じながら部活に打ち込めた。