第5章 M×A for MJbirthday
しばらく泣いて、
やっと落ちついた俺たちは、
お茶を入れなおして。
「先生、ごめんね。」
「謝んな。俺が好きで聞いただけだよ。」
「で、さ。…これ、誕生日プレゼント。」
「え…?」
雅紀がおずおずと差し出してきたのは、
うす紫と、黄緑のネクタイ。
「いいの…?」
「うん。よかったら、使って?」
「うん。使う。ありがと。」
雅紀の親に伝えたい。
あなたたちの息子さんは、
何にも悪いことなんてしてませんよ?
「先生、」
「ん?」
むしろ、…
「大好き。」
とても。
「俺も」
とても、いいお子さんですよ?
「俺の方が、好きだね。」
「え?なんで、せんせ…」
雅紀の言葉を遮るように、雅紀を抱きしめた。
「雅紀、ひっこそ?」
「え?」
「渋谷区に、ひっこそ。」
「え…?」
「渋谷区なら、同性でも、認められるから。」
「っ…せんせ…っ」
また俺が誕生日プレゼントをもらっちゃった、と。
雅紀がふふふって笑った。
fin