第5章 M×A for MJbirthday
東京の新しい学校は、誰でも知ってるような名門大学付属の高校だった。
なんでそんなところに入れるのか、よく分からない。
でも、ばぁちゃんの知り合いが、何人かいるらしい。
で、その中の一人が、
担任になった、櫻井翔っていう先生だった。
学校に入ってから、
授業についていくのは必死だった。
学費と、アパート代を少し、ばぁちゃんは出してくれていた。
ただ、生活費は足りなくて。
バイトを重ねた。
一人ぐらしをして。
一つだけ、計算違いがあった。
忘れられると思ってた、過去。
そう簡単に、消えてくれるわけがなかった。
夜中、眠ろうとしても眠れず、
結局俺の心は、
いつまでたっても、どれだけ離れても、
あの人たちに囚われたままなんだ。
だからこの過去は、
もういっそ。
もういっそ、パンドラの箱に閉まって。
心の奥深くに、
しまい込めばいいんだ。
誰にも、見つけられないように。
もう俺も、
見つけられないように。