第4章 ナギと掃除*
ふむっ。
困った。
とっても困った。
廊下の窓ガラスがかなり汚れていた為掃除を始めたまではよかったんだけど、まさかの脚立に乗っても届かないとは。
私はそれほど身長が低いというわけじゃないんだけど、これは届かない。
この間の王様プリンをくれた……そう!環くん!
あの子ぐらいの身長があれば届くのに……。
『ぐぬぅ』
「何かお困りですか。マドマゼル。」
『えっ、のわっとと……っ。』
ビックリした。いきなり振り向いたら顔があるんだもん。
落ちるところだった。いやはやイケメンは心臓に悪い。
「Oh……ビックリさせてしまい申し訳ありません。ワターシは六弥ナギと言います。決してアヤシイ人ではありません。」
『おぉ。日本語うまいですね、ナギさん。あっ、私は神崎と申します。』
「それでマダムはどうされたのですか?」
マダム……だと?
なんか最近年上に間違われてばっかりだな……。
もう否定すんのもめんどくさくなってきたわ。
この際マダム、マドマゼルでもどっちでもいいわ。
『ナギさんって結構身長高いですよね。』
「yes、180㎝あります。」
『ナイス身長。大変申し訳ないんですがね、私のかわりに脚立に乗ってあの窓を吹いてくれませんか?私の仕事なんですけど、身長が足りなくて届かないんですよ💧』
「yes、お安いご用です。」
ナギさんは嫌な顔ひとつせず私から雑巾を受け取り、綺麗に拭いてくれた。
「これでよろしいですか?」
『ありがとうございます!ほんとに助かりました!』
「いえ、ココで出会えたのも何か縁!この後ワタシとお茶でもいかがですか?」
『結構です(きっぱり)』
「残念です。フラれてしまいましたか。ではまた今度でも」
『掃除のおばちゃん誘ってどうするんですか。もっと可愛い子誘えばいいと思いますよ。』
「No。ワタシには貴女はとても魅力的なお嬢サンに見えますが。違いましたか?」
ナギさんは私に悪戯っぽくウィックしてみせる。
こりゃまいった。ちゃんと私の事見破っていましたか。
これは一本とられたわ。