第3章 環と掃除*
寮の玄関前。
なんてこった……。
私とした事が弁当を忘れるとは。
くそっ……こんなときに給料前で金無いしな……。
しゃーない。今日は昼なしで水分とあめちゃんだけ取って過ごそう。
ぐぅううううううう。
うん。無理だ。
「うぉう。すげぇ……腹の音。」
『え?』
振り替えれば図体のでかい猫耳パーカーを着た青年がいるではないか。
「腹、減ってんの?」
私はこくりと頷く。知らない人から物をもらっちゃいけませんと良くお母さんが言ってたけど今忘れよう。
「これやる。」
差し出してきたのはなんと期間限定の特大王様プリンだった。
『ほんとにいいの?もらっちゃって?』
「おばちゃん、いつも、掃除がんばってからやる。俺のまだこんなにあるし」
ビニール袋いっぱいに入った王様プリンを笑顔でみせてくれる青年。
なんて優しいやつだ。
今おばちゃんっていったことは見逃してやる。
『ありがとう。ありがたく頂くよ。』
「おう!……おばちゃん掃除大変なら今日俺休みだから手伝うか?」
「たまきくーん!!」
寮から誰かがでてきた。
「あっそうちゃん。」
「環くん!今日は午後から打ち合わせがあるって言ったじゃないか!ほら早く着替えてスタジオに行かないと!!」
「あっ……忘れてた。」
「もう!ほら、急がないと遅刻しちゃうよ!」
はやくはやくと、そうちゃんさんに背中を押され猫耳パーカー青年改め環くんは寮の中へ入っていくが一度振り返り
「わりぃ!掃除今度手伝う!!」
環くんは良い子だ。
さて残りの掃除も終わらせますかね。
終わったらゆっくりプリンでも食べようかな。